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Claudeで実際に何ができる? チャット・自律エージェント・開発・デザインまで、Anthropicの全製品を実例で解説

前回の記事「バイブコーディングとは?」では、AIに普段の言葉で指示してソフトウェアを作るという新しい開発スタイルの基本を整理しました。今回はもう一歩踏み込んで、それを実際に支えているツール——代表的な対話型AIである Claude(クロード) で、具体的に何ができるのかを見ていきます。

「ニュースでClaudeという名前は見かけるけれど、いったい何者で、何ができるのか」——バイブコーディングの広がりとともに急速に普及したこのAIに、そう感じている方も少なくないはずです。その答えを製品ごとに具体的に解き明かしていきますが、その前に、まずは「なぜ今これほど急速に広がっているのか」という背景を駆け足で押さえておきましょう。ここが分かると、後半のツール選びの判断がぐっとしやすくなります。

※ 本記事は2026年6月時点の情報です。AI関連の製品・名称・数値は更新が速いため、最新情報は各公式ページ・一次ソースをご確認ください。

なぜバイブコーディングが2025〜2026年に急拡大したのか

バイブコーディングという言葉が生まれたのは2025年2月。それから1年あまりで、辞書に載り、巨大な市場をつくり、日本の大企業でも導入が始まりました。英国の老舗辞書コリンズ辞書(Collins Dictionary)は「vibe coding」を2025年の「今年の言葉(Word of the Year)」に選んでいます。なぜこれほど短期間で広まったのか。理由は大きく3つあります。

① AIの性能が「実用の壁」を超えた

2024年後半から2025年にかけて、AIのコーディング能力は「補助ツール」から「実装の主役」へと立場を変えました。自然言語の意図を正確にくみ取り、実際に動くコードを出せるだけの性能に達したのです。GitHubの年次調査「Octoverse 2025」でも、新たに参加した開発者の約8割が初週のうちにAIコーディング支援を使い始めたと報告されており、AIは「あると便利」なものから「ないと困る」ものへと変わりつつあります。

② 非エンジニアでも使えるツールが出そろった

性能の向上に歩調を合わせ、ツールも急増しました。AIコーディングエディタのCursorや、ブラウザだけでアプリを作れるLovableは、ソフトウェア企業史上でも稀な速さで急成長しています。そして本記事の主役であるAnthropic(アンソロピック)社のClaudeも、この「使えるツール」の中心的な存在の一つです。

③「コードを書かない開発」が当たり前になった

世界49,000人以上の開発者を対象にしたStack Overflowの2025年調査では、84%が「AIツールを利用中または利用予定」と回答しました(前年の76%から上昇)。使う人が増え、事例が増え、それがさらに認知を広げる——この循環が回り始めたのです。

日本でも動きは加速しています。2025年5月に日本経済新聞がバイブコーディングを大きく取り上げて以降、経営層の認知が広がりました。住友商事は文系社員を含む研修を実施し、NTTドコモグループは管理職8名を含む約70名が参加する体験イベントを開催、モノタロウは「生産性2倍」を掲げて全社導入を進めています。

さらに2026年に入ると、日本の大手SIer(企業のシステム開発を担う企業)が、本記事の主役であるAnthropicと相次いで提携を結び始めました。NECは2026年4月、Anthropic初の日本拠点のグローバルパートナーとして戦略的協業を発表。Claudeを約3万人のグループ社員に展開し、開発ツール「Claude Code」を使って国内最大級のAI人材集団の育成を進めています。富士通も同年5月、約10万人の社員へのClaude導入を柱とする戦略的提携を結び、政府・金融・医療・防衛・重要インフラといった分野でのAI活用を打ち出しました。日本を代表するIT企業が大規模にClaudeを採用し始めたことは、AI活用が「お試し」の段階から「本格導入」の段階へと移りつつあることを物語っています。

ここまで見てきたように、バイブコーディングは一過性の流行ではなく、世界でも日本でも本格的に根づき始めています。そして、その広がりの中心にいるのが、本記事の主役であるClaudeです。

では、名前は聞いたことがあっても、まだ触ったことがない人にとっては、「Claudeとは、いったい何ができるものなのか」が最大の疑問かと思います。ここからは、その答えを製品ごとに具体的に見ていきます。

Claude製品の全体像

「Claude」といっても複数の製品、利用方法があります。Claudeの製品は、大きく次のように分けられます。

#

関わり方

製品

ひとことで言うと

1

使う(相談する)

Claude(アプリ)

対話で日常業務を助ける

2

任せる

Claude Cowork

作業を最後までやり遂げる自律AI

3

作る

Claude Code

言葉でソフトを作る

4

デザインする

Claude Design

言葉から画面・デザインを起こす

5

組み込む

Anthropic API ほか

自社サービスにAIの頭脳を載せる

6

拡張する

Chrome/Microsoft 365/Slack 連携

頻繁に用いるツールの中でClaudeを使う

これらはすべて、同じClaudeの「頭脳(AIモデル)」を共有しています。違うのは「どこで・どう使うか」だけです。それでは順番に見ていきます。

【使う】Claude(アプリ)— 対話で日常業務を助ける

もっとも基本となるのが、Webブラウザ・デスクトップアプリ・スマホアプリで使える対話型AIアシスタント「Claude」です。チャット欄に話しかけると、文章で答えてくれます。

非エンジニアの日常業務でも、すぐに役立つ場面がたくさんあります。

  • 議事録・長文資料の要約:1時間の会議メモや数十ページのPDFを貼り付け、「3つの決定事項と宿題を箇条書きで」と頼む
  • 文章の下書き:提案書、お知らせメール、お礼状などのたたき台を数秒で
  • 翻訳・言い換え:英語のメールを和訳する、固い文章をやわらかい表現に直す
  • データの整理・分析:Excelの表を読み込ませ、「売上が伸びている商品トップ5と、その共通点」を尋ねる

第1回で触れた「非エンジニアが自分の困りごとを自分で片づける」入口は、まさにここです。専門知識は要りません。普段の言葉で頼むだけです。

【任せる】Claude Cowork — 作業を最後までやり遂げる自律AI

ここからが、ここ最近の大きな進化です。Claude Cowork(クロード・コワーク) は、「チャットで答えてくれるAI」ではなく、目的を伝えると、自分のパソコンの上でファイルやアプリを横断しながら作業を進め、完成物を返してくれる自律型のAIです。Anthropicはこれを「ナレッジワーク(知的労働)のためのエージェント」と位置づけています。

たとえば、こんな使い方ができます。

  • 「このフォルダの資料を全部読んで、来週の役員会向けに10ページの報告スライドを作って」
  • 「複数の調査レポートを横断して要点をまとめ、A4・1枚の要約に整理して」

Coworkは、あなたが指定したフォルダのファイルを読む・編集する・新規に作成するところまで自分でやり遂げます。Google ドライブ、Gmail、DocuSign(電子契約)などの外部サービスと連携することもできます。

注目すべきは、利用者の大半がエンジニア以外だという点です。営業、経理、法務、マーケティングといった部門が、資料作成・リサーチ・ファイル整理など「本来の仕事の周りにある作業」を任せています。技術的な知識は必要ありません。プレビュー(試験提供)を経て、すでに正式提供が始まっています。

第2回の最後で「2026年以降はバイブコーディング単体から、AIエージェントと組み合わせる方向へ進化する」と書きましたが、Coworkはその「非エンジニア向けエージェント」を形にした製品だといえます。

【作る】Claude Code — 言葉でソフトを作る

Claude Code(クロード・コード) は、第1回で解説したバイブコーディングを実際に行うための開発ツールです。「こういうものを作りたい」と自然言語で伝えると、Claudeがコードを書いてソフトウェアに仕上げていきます。

ターミナル(黒い画面のコマンド入力ツール)のほか、デスクトップアプリ、Webブラウザ、VS CodeなどのIDE(開発ソフト)でも動きます。実例としては、次のような作業が挙げられます。

  • 「社内の備品予約ができる簡単なWebアプリを作って」と指示して、動く試作品を生成する
  • 既存のプログラムを読み込ませ、「このバグを直して」「この機能を追加して」と頼む

大規模な開発にも対応が進んでいます。たとえば「ダイナミック・ワークフロー」という機能では、Claudeが何百もの作業を並行して進め、数十万行規模のコード改修を一気に行うこともできます。とはいえ第1回でお伝えしたとおり、本番システムへ持ち込む際は人によるレビューとセキュリティ確認が欠かせません。「速く作れること」と「安全であること」は別の話だからです。

【デザインする】Claude Design — 言葉から画面・デザインを起こす

Claude Design(クロード・デザイン) は、Anthropicの実験・検証部門「Anthropic Labs」が2026年4月に公開したAIデザインツールです。言葉(プロンプト)から、デザイン・動くプロトタイプ(試作画面)・スライド・1枚資料などを作れます。

最大の特徴は、Claudeに自社のデザインの「型」を覚えさせられることです。自社のコードやデザイン資料、ブランドガイドラインを読み込ませると、Claudeが配色・フォント(タイポグラフィ)・ボタンなどの部品(コンポーネント)からなるデザインシステムを自動で作り、以降の制作物すべてに自動で適用してくれます。設定は一度きりで、あとはチーム全員の制作物に統一感が生まれます。

さらに、完成したデザインは一つの指示でClaude Codeに引き渡して本番のコードにすることができます。つまり「アイデアを言語化する → 試作画面を作る → 本番システムにする」という流れが、ひとつながりになるわけです。デザイン専用ツールの定番であるFigma(フィグマ)への挑戦としても報じられました。最近のアップデートでは、既存デザインシステムの読み込み、画面上で直接いじれるビジュアル編集、Claude Codeとの双方向の同期にも対応しています。

【組み込む】Anthropic API・Agent SDK・Managed Agents — 自社サービスにAIの頭脳を載せる

ここまではClaudeを「人が直接使う」話でした。一方で、自社のシステムやサービスの中にClaudeを部品として組み込むこともできます。それを支えるのが開発者向けの基盤です。

  • Anthropic API(Claude Developer Platform):自社のアプリやWebサービスからClaudeの頭脳を呼び出す仕組み。実例としては、問い合わせメールの自動分類・一次回答、社内文書のAI検索、申込書類からのデータ自動抽出など
  • Claude Agent SDK:自社の業務に合わせた独自のAIエージェント(自律的に動く仕組み)を作るための開発キット
  • Managed Agents(マネージド・エージェント):Anthropic側で動かしてくれるサーバー管理型のエージェント。決まった時刻に定期実行したり、認証が必要な外部サービスに安全にアクセスさせたりできる
  • Skills(スキル):特定の業務知識ややり方を、必要なときだけ読み込ませる「専門能力モジュール」

このあたりは社内のシステム担当者や開発パートナーと一緒に進める領域ですが、「AIを自社の仕組みに溶け込ませる」段階で選択肢になります。

【拡張する】Chrome・Microsoft 365・Slack 連携 — 頻繁に用いるツールの中で使う

新しいアプリを覚えなくても、普段使っているツールの中でClaudeを呼び出すこともできます。

  • Claude for Chrome:ブラウザの拡張機能。Webサイトのページを読ませて要約させたり、フォームに情報を入力するなどのブラウザ上の操作を手伝わせたりできる
  • Claude for Microsoft 365:Excel・Word・Outlook などのOfficeソフトの中で直接Claudeを使える。たとえばExcelでは「この売上表を月別に集計してグラフにして」と頼む、Wordでは長い文書の要約や議事録のたたき台づくり、Outlookでは受信メールの要点整理や返信文の下書きなどを、ソフトを離れずに任せられる
  • Claude for Slack:チャットツールSlackの中でClaudeに質問・相談する
  • コネクタ/プラグイン:Google ドライブやGmailなど、社内で使っているサービスとClaudeをつなぐ

「ツールを切り替える手間なく、いつもの画面のままAIを使える」のが、この連携の利点です。

業界別ソリューションと、モデルの選び方

Anthropicは、業界ごとの事情に合わせた業界別ソリューションも用意しています。金融、ライフサイエンス、法務、セキュリティ(Claude Security)、医療、教育、政府、カスタマーサポートなど、それぞれの分野に特化した使い方が提案されています。規制や機密情報の扱いが厳しい業種ほど、こうした専用の枠組みが安心材料になります。

なお、Claudeの「頭脳」であるAIモデルには、用途に応じて複数の種類があります。高度な推論や開発に強い上位モデルから、速さとコスパを重視した軽量モデルまで揃っており、どのモデルを使うかは求める精度とコストのバランスで選びます。

最高性能のモデルとしては「Claude Fable 5」が2026年6月9日に公開されましたが、わずか3日後の6月12日(米国時間)に提供が停止され、本記事の執筆時点(2026年6月)でも停止が続いています。米国政府が、安全機能を回避する「脱獄(ジェイルブレイク)」の手法が見つかったとして、国家安全保障上の懸念から、輸出管理上の指令としてFable 5および上位モデル「Mythos 5」への外国籍ユーザーのアクセス停止を命じたためです。Anthropicは、この対応として両モデルを全面的に停止する一方、指令の根拠には異議を唱えており、早期の復旧を目指すとしています。

裏を返せば、一国の政府が国家安全保障を理由に介入するほどの能力を、AIのモデルがすでに備えるに至ったということでもあります。AIの「頭脳」が、いかに高度な賢さに到達しているかを物語る出来事だといえます。

はじめてのClaude:どのプランから始める?

「名前は分かった。では、まったく触ったことがないけれど、どこから使い始めればいいのか」——ここがいちばん知りたいところかと思います。Claudeには、個人向けの無料プランから大企業向けまで、段階的なプランが用意されています(金額は2026年6月時点の目安)。

プラン

料金(目安)

向いている人

主な内容

Free(無料)

0円

まず試したい全員

Web・アプリでのチャット、コード生成、Web検索、ファイル作成など基本機能

Pro

月20ドル前後

日常的に活用したい個人

Freeの利用量を拡大。Claude Code/Cowork/Design、Microsoft 365連携なども利用可

Max

月100ドル〜

ヘビーユーザー

Proの5倍・20倍の利用量、新機能の早期アクセス、混雑時の優先利用

Team

1人あたり月25ドル前後〜

5〜150名規模のチーム

全機能+利用量拡大、一括請求、SSO(シングルサインオン)、管理機能。標準で学習にデータを使わない

Enterprise

1席あたり月20ドル+利用量に応じた費用

大企業

Teamの全機能+権限管理、監査ログ、データ保持の調整、IP制限、医療向け対応、Claude Security(ベータ)など

どこから始めればよいか。 結論はシンプルです。

  1. まずはFree(無料)で触ってみる。 費用ゼロで、チャットの実力をそのまま体感できます。議事録の要約や資料の下書きを試すだけでも、「どんな仕事に使えそうか」の感覚がつかめます。
  2. 本格的に使うならPro。 Claude Code・Cowork・Designといった主要な製品は、Proから使えるようになります。個人で日常業務に組み込むなら、まずはここが基準になります。
  3. チーム・全社で使うならTeam以上。 管理機能やセキュリティ、一括請求が必要になったらTeam、さらに厳格な権限管理やコンプライアンス対応が求められるならEnterpriseへ。

迷ったら、「無料で試す → 手応えがあればProへ → チーム導入はそのあと」 という順番が安全です。第1回でお伝えした「小さく始めて、効果とリスクを目に見える形にする」という原則は、プラン選びにもそのまま当てはまります。

まとめ:「どの場面で、どのClaudeを使うか」を設計する

Anthropicの製品を一望すると、できることの広さに驚かれるかもしれません。あらためて整理すると、こうなります。

  • 相談したい → Claude(アプリ)
  • 作業を任せたい → Claude Cowork
  • ソフトを作りたい → Claude Code
  • 画面・デザインを起こしたい → Claude Design
  • 自社システムに組み込みたい → Anthropic API/Agent SDK/Managed Agents
  • 頻繁に用いるツールの中で使いたい → Chrome/Microsoft 365/Slack 連携

大切なのは、すべてを一度に導入することではありません。第1回・第2回でお伝えしたとおり、まずは機密情報を扱わない小さな業務から試し、効果とリスクを目に見える形にする。そのうえで、自社の「どの場面で、どのClaudeを使うか」を設計していく——この順序が、流行に振り回されずにAIを取り込むコツです。


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参考・出典

Claude Cowork

Claude Design

製品ラインナップ全般

Claude Fable 5・Mythos 5 の提供停止(米政府の指令)

日本の大手SIerとAnthropicの提携

バイブコーディングの急拡大・背景

ツール市場の成長(Cursor・Lovable)

日本企業の動向(住友商事・NTTドコモ・モノタロウ ほか)

※ 各製品の提供状況・名称・対応プラン、および記載した数値・評価額は、公表時点・各調査条件に基づきます。最新の対応範囲は各公式ページ・一次ソースをご確認ください。